だが、これら国内外の観光客たちは、やはり冷やかしにすぎず、大勢の人が集まったからといって新地内の料亭を利用する客が増えたわけではない。国内外の大勢の人たちにその名を知られることと料亭を利用することは違う。近年は女性たちの間では「飛田に来たら稼げる」というのは昔の話になっているという。冷やかしの客が増えて街は賑わっているが、店に入ってくれる客が少ない。
それでも、若くてきれいな女性にとっては、飛田新地が「稼ぎやすい街」であることは変わりない。人気が出れば、飛田新地は「短期間でケタ違いに稼げる」場所であることは間違いない。
飛田新地の未来は…
では、飛田新地の未来はどうなるのだろうか。結論は「このまま残る」である。その理由は「地域社会に貢献しているから」だ。
飛田新地が地元にもたらしている経済効果は計り知れない。大阪市の税収増はもちろん、客や働く女性などの関係者が周囲の飲食店や衣服店、交通機関や宿泊施設などに落とす金額は相当なものである。飛田のおかげで地元経済は助かっている。
飛田新地料理組合はコロナ対策から見て取れるように、地域社会に迷惑をかけないように気を配っている。この徹底した地域に対する配慮ゆえ、飛田新地は必要とされ、いまも生き延びているのだ。
地域社会に大きな貢献をしている限り、飛田新地はなくならないだろう。行政や住民がその存在を支えていくに違いない。飛田の未来は「このまま存続する」。このひと言である。もし、なくなるとするなら、大規模摘発で全店が一斉に消滅する形になるだろう。そのときは「飛田新地が社会のなかでの役割を終えたとき」である。地域社会に大きく貢献する飛田新地が現在の状態で存続していく姿を、温かい目で見守っていきたい。