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京葉臨海鉄道の貨物列車に乗り込み…体験して実感した「昭和のディーゼル機関車」の特徴とは

京葉臨海鉄道・貨物列車添乗ルポ #2

2024/04/17
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 その千葉倉庫営業所の前で左にカーブすると、正面に鉄橋が見えてきた。村田川橋梁だ。

出発してすぐ正面に見えてきた鉄橋、村田川橋梁

 ここに架かっているトラス橋は、かつて国鉄東海道本線大井川橋梁として使われていたものを移築した、110年の歴史を持つ歴史的建造物。そんなものを遠く千葉までよく持ってきたものだと感心する。

 かつては寝台特急「さくら」や「富士」といった優等列車が通ったトラス橋を、令和のいま、大好きな貨物列車で通過する喜びに、わが魂は揺さぶられる。

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 鉄橋を渡った右側に民間の車両解体工場があり、西武鉄道の黄色い廃車両が解体されている様子が見えた。いまはトレーラーで運ばれてきているそうだが、線路は繋がっているのだから、将来もしかしたら役目を終えた老朽車両が、この線路を通って「最後のひと走り」をすることもあるのかもしれない。京葉臨海鉄道でもDD200の導入で引退したKD55形式機関車1両を、この工場に解体を依頼した実績があるという。

 15時04分、「市原分岐」と呼ばれるポイントを通過。その名の通り、ここから進行方向右側に分岐する支線があり、1.6km先に京葉市原駅という富士電機の工場に向かう専用線への接続駅に向かっている。

国道16号と併走する「臨海本線」

「ああっ! いたいた!」指さす先には銀色に輝く“銀タキ”が

 それにしてもディーゼル機関車というのは、「力の入れ具合」と「音」の関係性が分かりやすい。頑張って引っ張っているときは苦しそうな大きな音を出し、力を抜いて惰行運転になると、ため息をつくように脱力する。最近の乗り物は涼しい顔をして最大出力で走ったり飛んだりするが、昭和のディーゼル機関車は正直だ。それだけに乗っている身としても「頑張れ!」と応援したくなる。

 もう一つ気付いたことがある。これまで写真や映像で見てきた凸型ディーゼル機関車からの前面展望は、どれもボンネットで画面の下半分を塞がれていた。記者もそれは仕方ないことだと思っていたのだが、今回の取材で、カメラマンの力量次第で死角は最小限に減らせることがよくわかった。山元カメラマンの高度な技術に感謝だ。

 左側に国道16号線が近付いてきて並走し、15時13分、浜五井駅到着。ここは行き違い可能な駅で、反対側の線路に当駅始発千葉貨物駅行き石油輸送列車210列車が停まっている。

「ウチの線には“銀タキ”が入って来るんですよ。運が良ければ見られるんですが……」

 と石井さん。