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京葉臨海鉄道の貨物列車に乗り込み…体験して実感した「昭和のディーゼル機関車」の特徴とは

京葉臨海鉄道・貨物列車添乗ルポ #2

2024/04/17
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 線路が3本に分かれており、一番右側には1本前の上り507列車が置いていったコンテナ貨車が停まっている。我々はその隣の「真ん中のレール」に進入し、16時15分、停車した。定刻だ。

列車は「真ん中のレール」に進入した

そしてKD60は千葉貨物駅に帰って行く

 石井さんと取材陣が機関車を降りると、代わりに同駅の操車係が乗り込み、連結を外された機関車は前方に進み、向きを変えると3本あるうちの一番左側の機回し線を通って千葉貨物駅方に移動。再び後進して、507列車が置いていったコンテナ貨車の先頭に連結した。

 507列車が置いていった貨車には、この1時間ほどの間に京葉久保田駅のフォークリフトとトップリフターがコンテナを載せて待っていた。そして下り509列車としてやって来た鈴木機関士の運転するKD60の3号機が、準備の整ったその貨車を連れて、16時35分発上り第510列車として千葉貨物駅に帰って行くのだ。

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トップリフター

 この510列車が、この日京葉久保田駅を出て行く上り最終列車だ。京葉久保田駅に置いていかれる(我々の乗った509列車が引っ張って来た)貨車には、明日の朝までにコンテナが積み込まれ、午前8時29分発の502列車として千葉貨物駅に運ばれていく――というスケジュールだ。

 京葉久保田駅には海上輸送用のISO規格という大型コンテナが取り扱われている。20フィートと31フィートの2タイプのコンテナがあるが、31フィートコンテナは重くて長いため、通常のフォークリフトでは2本のツメを差し込んで下から持ち上げられない。そこで「トップリフター」という上から掴んで持ち上げるタイプの車で積み下ろしをすることになる。

 とても人間業とは思えない華麗な積み下ろし作業を眺めているうちに、16時35分、510列車が発車して行った。

 列車が出て行ったあとの京葉久保田駅に、急速に夕闇が迫って来るのを感じた。
 総務部長の秋葉さんが車で迎えに来てくれたので、乗り込もうと駅本屋に向けて歩いていくと、駅入り口の線路上の門が閉められているのが見えた。

上り最終510列車が出て行った後の京葉久保田駅。線路上の「門」が閉ざされれていた

「駅構内はお客様の大切なお荷物を預かっているので、夜間は線路の上にも門を閉めるんです」

 と語る石井さん。

 ヘルメットの「金の三本線」が、夕陽にキラリと輝いた。

取材協力:京葉臨海鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社
写真:文藝春秋/山元茂樹

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