日本各地で、オーバーツーリズムが大問題になっている。たとえば京都では外国人観光客が溢れかえり、市民が市バスを使えないという事態が生じている。

 ここでは、そんなオーバーツーリズムの問題と「解決方法」について論じた『オーバーツーリズム解決論』(ワニブックス)より一部を抜粋して紹介。私たち観光客一人一人が日本国内を旅行する際にできる、具体的な対策には何があるのだろうか。(全2回の2回目/最初から読む

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 オーバーツーリズムは、特定の場所に多くの観光客が集中することで発生する。観光客が集まらないようにどうするか(予防)、もし観光客が集まった場合にどうするか(対策)……こうした政策は必要不可欠だが、私たち自身が責任ある観光客として「実践」できることもたくさんある。重要なのは、「ずらす」ことである。

混雑する空港 ©︎GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

ずらす① 閑散期を狙う

 富士山や屋久島など各地で「混雑カレンダー」が作成されていることからもわかるように、オーバーツーリズムは特定の日に特定の場所で発生する傾向にある。ゴールデンウィークの新幹線や高速道路が混雑しているように、桜や紅葉の時期の京都、7~8月の週末の富士山、ゴールデンウィークやお盆の屋久島……といったように、「混雑のピーク」がオーバーツーリズムを生じさせている。

 そこで、私たちにできることは、とても簡単、「混雑しているときは、できるだけ行かない」ということである。混雑が顕在化している観光地では混雑カレンダーを用意していることが一般的なので、ぜひ混雑カレンダーを参考にしてほしい。

 また、混雑期に行くことは、自分自身も損をすることが多い。まず、繁忙期には、次のようなデメリットがあることを肝に銘じたい。

・値段が高い

・混んでいる

・サービスの低下

・本来の姿を楽しめない

・待ち時間が多くなる

・事故が起きやすい

 とりわけ、「待ち時間が多くなる」という点には要注意である。たとえば、空港では、荷物預け入れの列に並び、保安検査の列に並び、観光地に到着しても、レンタカー貸出の列に並び、ホテルチェックインの列に並び……といたる箇所で待ち時間が激増する。

 私の経験上、2泊3日の旅であれば、余計な待ち時間が4時間は生じるだろう。交通費や宿泊費が高い時期に行って、長時間待たされているようでは、あまりにもったいない。閑散期に行けば4時間余計にストレスなく遊べるということになる。繁忙期を積極的に避けることが、地域も自分も守ることにつながることを肝に銘じよう。