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あふれ返る外国人観光客…京都では「市民が市バスを使えない」観光客ひとりひとりができる、“オーバーツーリズム”への対策法とは

『オーバーツーリズム解決論 日本の現状と改善戦略』より#2

2024/06/30
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ずらす④ 行先をずらす

 タイミングだけではなく、行先をずらすことも重要である。近年は、スマホの位置情報のリアルタイム分析も発達して、レストランや観光施設の混雑状況がグーグル検索で瞬時にわかるようにもなった。こうしたビッグデータを用いて、タイミングをずらすことも重要だが、そもそも混雑している時期に混雑している場所に行かない、というのが鉄則である。特に、テレビやSNSでトレンドになった場所に行って、誰もが同じような行動をとることも問題である。

 テレビやSNSでは人気が出た場所を一挙にこぞって特集・発信する傾向がある。都内でも、新宿や渋谷、原宿等で、異様な行列を目にすることがあるが、近隣店舗への入り口を塞いでいたり、通行する人の邪魔になるなど、近隣の迷惑になっているケースも多い。テレビやSNSは「数字を稼げたら良い」と安易に考えるのかもしれないが、数字のために迷惑をこうむる場所があることを共通の理解にしていくべきだろう。これは旅行だけではなく、レストランやファッション、研究など全てについて言えることである。

 たとえば、「今行くべき〇〇ベスト10」とか、「今年のトレンド〇〇」のように、メディアはやたらと流行を作りたがるが、この種の広告、流行作りで得をしているのは誰なのか、そして、迷惑をしているのは誰なのかを考えることが重要である。良い服を「長く着る」ことが一番エコであるように、旅先をファストファッション化させないことが、重要である。#(ハッシュタグ)やSNSに惑わされることがないように、くれぐれもご注意いただきたい。

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