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 青ヶ島を含めた島での選挙活動は、「離島のことをいかに意識しているか」が問われるな、と思っています。例えば小池さんは今回の選挙のために、わざわざ“島用”のポスターを作成していました。「これからも、都民のために。都民とともに。」という文言を、「これからも、島民のために。島民とともに。」と変えていたのです。

 また、都心部だけでなく八丈島での街頭演説なども行っていました。小池さんは、青ヶ島の投票数の約7割(105票中72票)を獲得していました。島しょ部も気にかけてくれている姿が、彼女を応援する島民を増やしたのかもしれません。

村長選挙と都知事選の違い

 ちなみに、青ヶ島では、今年1月に村長選挙がありました。そのときの投票率は86.13%と、都知事選をさらに上回っています。

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 人口の少ない青ヶ島村では、親戚や友人が村長や議員ということも少なくありません。島での生活で困ったことがあったら、仲の良い友達と雑談するように、気軽に村長や議員に相談します。村長や議員はもちろん、村民も「自分たちが住む村は、自分たちで良くしていく」という意識が高いのです。

 実際に、住民からの声で島内にフリーWi-Fiスポットができたり、元々は民間で行っていた「島留学」が村の予算で行えるようになったりしています。島留学は、声をあげてから3年ほどで村の事業となったので、実行するスピードも早い。これも、村議会と村民の距離が近いからかもしれません。

青ヶ島にはコワーキングスペースがあり、フリーWi-Fiを利用できる

 一方で、距離が近いからこその難しさもあります。村長選挙や村議会議員選挙では、有権者約130人の限られた票を奪い合うことになります。しかも、候補者は知り合いばかり。親戚や仲の良い友人が候補者になっていても、投票しない場合もあります。

 数票の差で当落が決まることが多いから、選挙期間中は、村全体がピリピリしています。でも、一人ひとりが「村を良くしたい」と思っているからこそ生まれる緊張感だと思っています。

青ヶ島民として、政治に求めることとは?

 選挙や政治の話になると、「青ヶ島村民として、都や村にどんなことをやってほしい?」と聞かれます。

 青ヶ島には、コンビニやスーパーはもちろん、塾や習い事、映画館やクラブのような娯楽施設もありません。そんな環境だからか、やりたいことがあったら、自分で何でもやっちゃう、タフでフットワークの軽い人が多いんです。

 だから、「何かをやってほしい」というよりも、「やりたいことをサポートしてくれる政治」が広がっていくと、青ヶ島民としては嬉しいですね。

取材・文=仲奈々
写真提供=佐々木加絵さん