思い返せば2022年。この年の夏の甲子園で優勝したのは、宮城県代表の仙台育英だった。東北勢では初めてとなる全国制覇。仙台育英の選手たちは新幹線に乗って仙台に帰る途中、白河市内を通過したときに、記念撮影をしたらしい。いわゆる「“深紅の優勝旗”がはじめて白河の関を越えた」瞬間だった。
何やら、その瞬間をテレビのヘリが空撮で捉えたり、白河の関跡とされている白河神社が参拝客で溢れたり、などといういろいろなできごとも付随したという。
細かいことをあげつらうと、2004年に南北海道代表の駒大苫小牧が優勝して、深紅の優勝旗は空路で白河の関をすっ飛ばしている。ただ、それでも肝心なのは東北勢にとって初めての優勝、ということなのだろう。だから、仙台育英の選手たちが白河の関付近を通過した瞬間は、東北の人々にとっても特別な瞬間だったのだ。
そんな白河の関のほどちかくにある新幹線の駅が、新白河駅だ。
“新幹線がとまる唯一の村”西郷村の「新白河」駅には何がある?
東京駅から新白河駅までは、約1時間20分ほどの旅。基本的には「なすの」か「やまびこ」の各駅タイプしか停まらず、日中にやってくる列車は1時間に1本だ。だから、新幹線駅の中では小駅の部類に属するといっていい。
この駅が取りあげられるときには、決まって語られるのが「新幹線駅で唯一村にある駅」ということだ。実際、新白河駅は福島県西白河郡西郷村にある。天下無双の大動脈のターミナルが小さな村に。そんな違和感が、ちょっとしたトリビアとして受けている向きもあるのだろうか。
ただし、実際のところは白河市と西郷村の境界付近に駅があって、ホームの一部は白河市内に属している。そして、新白河駅もその名の通り、西郷村の玄関口というよりは実質的には白河市の玄関口だ。