東京大学に入学するのは毎年3000人程度。うち、およそ2000人は“名門校”(毎年のように東大進学者を5人以上輩出する高校)の出身者で占められているという。そんな環境の中、異彩を放つ活動を繰り広げているのが、“非進学校”出身者のみが入会できるサークル「UTFR(the University of Tokyo Frontier Runners)」だ。

 名門校出身ではない生徒は東大でどんなことに困るのか、彼らのためにUTFRはどんな活動をしているのか、そして周囲に同じ目標を持つ人が少ない環境からどのような経緯で日本最高峰の偏差値を誇る東京大学へ入学を果たしたのか。

 

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非進学校出身者だからこその“ハンデ”

――難波さんが東大にたどり着くまでの道のりを教えてください。

難波 中学受験をして横浜市立南高校附属中学校に入学したんですが、提出物の管理などが苦手で学校にうまく適応できず、不登校になってしまいまして。中高一貫校だったので、そのまま高校に進んだものの、結局中退を決断しました。その後、高卒認定試験を受けて、一浪を経て東大へ入学といった流れですね。

――高認取得から東大合格は珍しい経歴だと思いますが、具体的に受験勉強において大変だったことはなんでしょうか?

難波 環境ですかね。東大に毎年合格者を輩出するような進学校に通っていれば、一緒に頑張る仲間やライバルがいたり、相談する身近な先輩がいたのではないかと想像するのですが、基本的に同世代にはそういう人がいませんでした。家族と、塾の先生だけが頼りでしたね。

 

――東大入学後も、非進学校出身であることがハンデになるのでしょうか?

難波 もちろん個人の努力次第だと思いますが、情報量の格差はどうしても感じますね。たとえば私の場合、東大に入学するまで、駒場キャンパスと本郷キャンパスがあることさえ知らなかったくらいで。

 あと、東大では2年生までの成績をもとに、3年生以降の専攻を決める“進振り”という制度があるんですが、これが極めて厳密なシステムで、どうすれば希望の科に進めるか、詳細はわかっていませんでした。身近に東大生がいないと、特に入学直後はどのような学生生活を送ればよいかイメージしづらいというのは、どうしてもあります。

 それから進学校出身者は先輩後輩のつながりから、入学早々、当然のように試験対策プリントなどを持っていたりするので、そういう格差も感じますね(笑)。

――東大が身近ではなかったとのことですが、難波さんが惹かれた理由は何でしょうか?