過去最多の9名が立候補した2024年の自民党総裁選は、政策だけでなく「イメージ」を競うものでもあります。

 各陣営は、どんなイメージを打ち出そうとしているのでしょうか。候補者たちの服装、振舞い、言葉遣いからは「こう見られたい」という各陣営の願いを読み解くことができるのです。

小林鷹之さんのネクタイがオレンジ・白・黒な理由は

 小林鷹之さんのイメージカラーはオレンジです。選挙では赤や青を使用する候補者が多い中で、オレンジは色彩心理学的に「若さ」や「エネルギー」を表します。小泉さんに次いで2番目に若い49歳という年齢を押し出し、世代交代をアピールしたいのだと思います。

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小林鷹之 ©文藝春秋

 ネクタイは、オレンジ×白×ネイビーのストライプを何本か使い分けているようです。ストライプには、日本人の平坦な顔立ちをキリッと引き立たせる効果があります。

 ストライプの色の組み合わせは、出身大学や所属していた組織のイメージカラーを使用することが多いです。東京大学はライトブルーですが、ハーバード大学は最も有名なクリムゾンと共に白もイメージカラーに入っていて、そこから取ったのかもしれません。

林芳正さんの「くすんだモスグリーン」は「熟練・安定」の自負?

 林芳正さんの総裁選での出で立ちは、グレーのジャケットにくすんだモスグリーンのネクタイという独特な色で統一したコーデが目につきます。​

林芳正 ©時事通信社

 ジャケットでは他にもネイビーのパターンがあり、ネクタイも黒の幾何学模様や鮮やかなグリーンまで使いこなしています。全体のイメージは「熟練・安定」という方向性を感じます。

 林さん自身の肌タイプや経歴、年齢にマッチしていて、演説でも自然な語り口調で、服装×話し方×本人の印象がきわめて高いレベルで統一されています。奇抜さよりも安定感を強調するスタイルには、岸田総理に最も近い立場であるという自負が透けて見えるようです。

上川陽子さんは高市さんと同じ上下黒、しかし前面には「女性性・母性」を…

 上川陽子さんは、高市さんに近い上下黒+パールのネックレスというスタイルをデフォルトに選択しています。

上川陽子 ©時事通信社

 高市さんとの違いは、ボトムスがスカートではなくパンツルックなこと。これによって高市さん以上に威厳と重厚感を押し出しています。

 ヘアスタイルはショートながら女性らしく、イギリスのメイ元首相のようでもあります。パンツスタイルからはヒラリー元国務長官を感じさせ、発言でも「女性」であることのアピールが多く、「女性性・母性」を前面に出す選択をしています。