2024年の自民党総裁選は過去最多の9名が名乗りをあげ、演説会では舌戦が繰り広げられています。しかし近年は、政策だけでなく各候補の「イメージ、見た目の印象」が勝敗に大きく影響することが知られてきました。

 今回はその「見た目の印象」に特化して、総裁選の候補者たちがどのような印象を与えようとしているか、何をアピールし、どんな弱点をカバーしようとしているか、など各陣営の思惑を推測してみます。

 まずは事前の報道で「三つ巴」と言われる高市早苗さん、小泉進次郎さん、石破茂さんを見て行きましょう。

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©︎JMPA

高市さんは「より細く、背を高く見せる」黒一色コーデにレフ板かわりのパールのネックレス

 高市さんは今回の総裁選のデフォルトスタイルに「黒の丸首シャツと黒のスカート」を選択しました。

 色彩心理学的に言うと黒は決して地味な色ではなく、威厳と重厚感を発揮します。さらに黒一色でトップスとボトムス上下を統一することで、縦長の錯視効果が生まれ、より細く、背を高く見せることに成功しています。

 実はもう1人の女性候補の上川陽子さんも、黒の丸首シャツと黒のスラックスを選択しています。

 そして2人とも日本人女性のフォーマルの象徴であるパールのネックレスをつけることで、丸首シャツだけだと軽装に見えかねないところ、格を上げる意図が見えます。

 黒の丸首に白のパールを重ねると、顔周りがイキイキした雰囲気になります。写真撮影時には、パールがレフ版のような効果を発揮し、顔色も明るくなるのです。高市さん自身の表情も豊かで明るいことで、相乗効果もありそうです。

 高市さんは、ボトムスにパンツルックを選ぶ印象がなく、スレンダーな美脚が引き立つ膝丈のスカートと黒のパンプススタイルです。男性からは異性として見られつつ、女性には憧れの対象に見えるような印象を目指しているのでしょうか。

高市早苗 ©文藝春秋

 高市さんは、この黒の上下スタイルをベースに、ダークブルーのテーラードのジャケット数種を使い分けながら、たまに白のジャケットを羽織っています。男性がネクタイを変えるように、ジャケットで変化を演出しているのです。

 ジャケットはネクタイより面積が大きいので、戦略的に使い分けることで印象をがらっと変えるパワーを発揮します。

 今は、全国行脚で党員1人1人に訴える時期なのでで、親しみやすさを前面に出した丸首なのでしょうが、いざ総理となった時のイメージがつきづらいというマイナスの効果もあります。

 Vゾーンを意識したシルクのブラウスなどでシックな雰囲気をまとえば、高市さんのフェイスラインのシャープさにマッチして、男性議員のスーツ姿に負けない服装の「格」になりそうです。