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 今回の『傲慢と善良』だと、最初に萩原健太郎監督とお会いしたとき、私は事前に背景を作っていくタイプだとお話ししたんです。そしていろいろな演出家さんのタイプがあると思いますけど、事前にそれをすり合わせたほうがいいですか、それとも現場でセッションしていくほうがいいですかって相談して。萩原さんはぜひ共有していきたいですと言ってくださったので、事前にいろいろな話し合いをくり返しながら、お互いを信頼して作っていけたと思います。

 

大事にしている感覚

――事前に核の部分をしっかり作っておいて、現場では相手にただ反応する、ということですよね?

奈緒 はい、私は基本的に相手の方にセリフを言わせてもらっていると思ってるんです。ただ、その相手がいたから言わせてもらえたセリフではなく、自分のなかから湧きでてきて、こぼれてしまうセリフもある。そのどちらなのかと考えるのは、私が台本を読むときから大事にしている感覚です。

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本当に向き合いたいものに取り組んでいきたい

――この1、2年は映画もドラマも主演作が続いています。しかもドラマ『あなたがしてくれなくても』(2023)、『春になったら』(2024)、映画『先生の白い嘘』(2024)など、“死”や“性”を題材にした作品が多かったですよね。その姿は自分自身をあえて追い込むかのように、難易度の高い作品に挑んでいるようにも見えますが。

奈緒 そういうセンシティブな題材をテーマにした作品のお話をいただく機会が多かったんです。それがいま自分に求められていることだとしたら、向き合いたいなと思いました。私自身は、私がどう見えるかより、自分はお芝居をやっていくと決めたのだから、本当に向き合いたいものに取り組んでいきたいと思っているんです。それがいちばん純粋なパワーになって、作品にも映ってくれるはずだから。

 ここ1、2年はお仕事も忙しくなって、自分の無知が怖くなる瞬間がたくさんありました。だから知らないといけないことがもっとあるんじゃないかなと思って、作品を通してそこに触れさせてもらったような気がしています。