精悍な面構えは、叔父で元横綱の朝青龍(44)を彷彿とさせる。1月場所を制し、第74代横綱に昇進した豊昇龍(25)のことだ。
「ただ、豊昇龍は叔父と比較されるのを嫌がり、両者の間柄も良好だったとは言えませんでした。接近したり、疎遠になったりと微妙な関係を繰り返してきたんです」(相撲担当記者)
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朝青龍が甥っ子のために緊急来日
豊昇龍が所属する立浪部屋の後援者が明かす。
「1月場所で優勝した時、豊昇龍は叔父の朝青龍と1年ほど連絡を取っていない状態でした。ちょっとお金も絡む不和が生じていたようです。だが、立浪親方らに促され、後援会の関係者が間を取り持つかたちで豊昇龍が朝青龍に電話をした」
その後、朝青龍は甥っ子の晴れ舞台に合わせて緊急来日。明治神宮の奉納土俵入りを見届けたが――。
「豊昇龍とはほとんど話せなかったようです。奉納土俵入りの翌日、豊昇龍は一昨年に引退した徳勝龍の断髪式に出席しましたが、記者に『昨日、叔父さんは何か言っていましたか』と聞いていました。まだ完全な雪解けには至ってないのでしょう」(前出・記者)
怖さのあまり、連絡先を全部ブロック
これまでも、叔父と甥の間にはある種の緊張感が横たわっていた。
その一端が垣間見えたのは、2022年3月6日放送の「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)。スタジオに集まった若手力士の中に豊昇龍の姿が。当時のツイッターで〈殺すつもりで行け!!出来ないならちゃんこ番やれ!!〉などと叱咤激励する叔父の朝青龍について、こんなエピソードを明かした。
「僕には本当に厳しいんですよ。幕下の時、めちゃくちゃ怒られたり、プレッシャーをかけられたから。連絡先を全部ブロックしちゃったんですよ。怖いんで」
一部始終を見ていたのが、当の朝青龍だ。本人とのサプライズ中継が繋がると、豊昇龍は顔を赤らめて動揺。スタジオは爆笑に包まれた。
「叔父さんが出るなんて聞いていない」
制作関係者がこんな後日談を打ち明ける。
「収録のあと、豊昇龍は『叔父さんが出るなんて聞いていない』と不機嫌でした。それ以降、テレビの企画が持ち込まれると『あの人は来ないよね?』と確認するようになった。あれこれと上から口出ししてくる叔父を、本心から煩わしく感じていたようです」
遡れば、一族の間にも溝が存在していた。朝青龍の知人が述懐する。
「豊昇龍の父のスガラグチャーさんは一家の長男で、朝青龍は四男。ただ、きょうだいの中でスガラグチャーさんだけ父親が違うのです。朝青龍が育ったモンゴルの実家に行ったことがあるのですが、現役横綱だった朝青龍が兄(豊昇龍の父)にキツく接していたのを覚えています。豊昇龍は、当時まだ少年でしたがそれを見て育っているので、複雑な感情はあったでしょうね」