〈女の先輩から叱られることが〉
いずれも実態は用意周到に計画された犯行だったが、柳本は事件を起こした理由について裁判でこう証言している。
〈当時、バイト先のホテルで、女性から男性に対していじめがあった。自分もその標的にされ『使えない』『早く辞めろ』などと罵倒され続け、ストレスがたまっていたんです〉
2件目についてはこうだ。
〈大学4年から研究室に配属となり、女性教授から冷たくされた。叱られることも多く、生きづらかった〉
柳本は18年3月に2件、4月にも1件の犯行を繰り返し、その間に機材レンタル会社に就職。社会人になって以降もその犯行は収まらず、同年9月と翌年4月にも事件を起こしている。
約2年間は事件を起こさなかった
「その後、柳本は21年1月に病院の事務職に転職。それまでの約2年間は事件を起こしていません」(前出・記者)
なぜ犯行がピタリと止まったのか。その理由について柳本は自身をこう分析している。
〈当時は付き合っている彼女がいて、すごく充実していたし、転職先でも仕事がうまくいっていたんです〉
だが21年3月、柳本はまたしても凶行に及ぶ。
「11歳の女児の口を塞ぎ『殺すぞ』などと脅し、約110分に渡って性的暴行を続け、その様子をスマホで撮影した」(同前)
年上女性へのコンプレックスからの犯行なのか?
ここでも柳本は身勝手な理由を口にしている。
〈転職先で職場の年上女性からきつく叱られることが多くなり、ストレスに感じていた〉
なお柳本は同時期、職場の女性職員寮に忍び込み、盗撮カメラを設置したり、女性の下着に精液を付着させたりする等の行為も繰り返しており、こちらも起訴されている。
そして22年5月、10度目の女児への性的暴行に及び、2カ月後の同年7月、遂に大阪府警に逮捕された。
しかし、柳本はここに至っても、これまでと同様の“言い訳”を述べている。
〈女の先輩から叱られることが多く、上司に話しても改善されなかった。また、恋人の影響で公務員試験を受けたが、これもうまくいっていなかった〉
こうした数々の証言に共通するのは、女性への根拠不明な被害感情や劣等感だ。とりわけ、年上女性へのコンプレックスがうかがえる。
ただし、裁判では鑑定医から彼の支離滅裂な言動の一部について「詐病」との見方が報告され、むしろ「小児性愛者」と断じられていることを付言したい。