柳本が裁判で、自身の幼少期について語った
一体この男はどのように生まれ育ち、なぜ暴行魔と化していったのか――。
裁判記録と身辺取材を照らし合わせ、半生を辿った。
柳本が生まれたのは1996年の3月。ベッドタウンとして知られる大阪府吹田市の団地で、両親と5歳下の弟と共に暮らしていた。
「ちっちゃな頃は弟と一緒に団地の集会場でよく卓球をしていました」(住民)
小学校時代の同級生が回想する。
「あいつとはよく仮面ライダーごっこをして遊んでいました。柳本がいつも選ぶライダーは、鏡の中に入り込めるキャラ。でも、そのキャラになりきりすぎて自分が映る窓に激突し、ガラスを粉々に割ってしまったこともありました」
柳本自身は裁判で幼少期についてこう語っている。
〈物心がついた頃から、父親から暴力を受けて育ちました。保育園では運動会のとき、ダンスの時間なのに自分だけ砂場で遊んでおり、母から『恥ずかしい』と言われたのを覚えています〉
犯行に繋がることになる“重要な出来事”
その柳本にとって、重要な出来事が小学3年時に起きている。自身が受けたと主張する“性被害”である。
裁判の中で柳本は、その出来事について概ね次のように証言している。
〈学校から帰宅した際、2、30代の黒髪の女性に声をかけられ、団地の踊り場に連れていかれました。そこで乳首を触られ、パンツを脱がされ、陰茎を舐められたりした。それ以降、被害にあったことを思い出しながら、隠れて陰茎を物にこすりつけるようになった〉
このとき受けた被害が、後に自分が繰り返すことになる性的暴行に繋がっていると主張するのだ。
鞄の中にロープ、アイマスク
地元の中学に進学した柳本は、まったくの未経験ながら野球部に入部する。
中学の同級生が言う。
「柳本は、いつも斜に構えている感じで、何を考えているのか分からない変な奴だった。野球部の練習もさほど熱心にやっておらず、いつも補欠でしたね」
異性との関わりはどのようなものだったのか。
「当時うちの中学校では、休み時間になると廊下の壁に女子が寄りかかりながら喋っていたんです。それで、弱そうな男子が通ると、なぜかタックルをしてくる。柳本もスクールカーストの下の方にいたので、そういう目に度々あっていたはずです」(同前)
こうした“女性経験”が思春期の柳本を屈折させていったのだろうか。