容姿にコンプレックスを持つきっかけになったのは、同級生からのいじめだけではない。E美さんは事あるごとに母親から「あんたはブサイクなんだから、せめて勉強だけでもがんばりなさい」と言われて育ったそうだ。
私から見たE美さんは、笑顔がかわいらしく、魅力にあふれた女性。母親の言葉は、きっと本心からではないだろう。ときどきわが子のことを自分のことのように謙遜してしまう親がいるが、E美さんの母親も、勉強ができる娘に対して、そうだったのかもしれない。10年前に亡くなってしまったそうなので、その真意を確かめることはできないけれど。
E美さんは、母親の言いつけ通り勉強に打ち込んだ。その結果、中学受験で中高一貫の女子校に合格し、大学受験では東京大学へと進んだ。大学では理系を専攻して現在は研究職に就いている。
とても立派な経歴で、自信に溢れていてもおかしくないのだが、子どもの頃に母親にかけられた心無い言葉に、E美さんはいつまでも囚われていた。
「近づいてくるのは既婚者くらい」
容姿コンプレックスと並んで、E美さんの婚活を阻むマインドがある。
それが、「男性に対する恨みや見下し」だ。E美さんは、小学校時代に同級生の男子に「気持ち悪い」と容姿をからかわれ、いじめを受けたことを今も許していない。
恋愛経験はあるが、E美さんいわく「私に近づいてくるのは既婚者くらい」だそうで、これまでにつき合った相手は2人とも既婚者だった。初めは離婚をちらつかせて近づいてきたのに、結局妻と別れる気配はないまま、ズルズルと関係を続けてしまったことをE見さんは後悔しているという。
婚活沼に陥ってしまう人の中には、無意識のうちに男性を恨んだり見下したりしている人が少なくない。その原因は、父親や元カレ、子どもの頃の体験など身近な男性との関わり方にあることが多い。
E美さんもその典型だ。E美さんの発言の端々には、男性に対する「恨み」や「見下し」の気持ちがうかがえる。たとえば、「男は敵」「私を大事にしてくれる男性なんていない」「どんな男も、どうせ浮気をする」というような言葉だ。「体目当て」という発言もそのひとつだ。