今田の場合、アイドル活動はほとんどしておらず、もともと俳優を目指して上京しただけに、芝居に対する高い熱量と、作品選びの巧さが大きな武器となっている。

たたかれやすい名作リメイクにおいてもそうだ。例えば、「花咲舞~」では前シリーズ主演の杏の評判が良かっただけに、放送開始当初はネガティブな意見もあったが、回を重ねるごとに今田の全力の元気ぶりと正義感の強さに惹かれる人が増え、結果的に今田の認知度と人気をさらに高めることに。かつては石田ひかりが演じた「悪女~」もそうだった。

非メジャー映画にも出て、晴れて朝ドラヒロインになった

その一方、規模や予算・注目度ではなく、作品の内容・質で出演作を選んでいると思えるところに、芝居への本気度が見える。

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例えば、初主演映画は、LGBTをテーマとした中川駿監督の短編『カランコエの花』(2018年)で、これは数々の映画賞を受賞。

さらに役者としてのすごみを見せたのは奥山由之監督の映画『アット・ザ・ベンチ』。今田は好きな人に一方的に執着し、家出した女性を演じ、姉を連れ戻しに来た森七菜演じる妹と激しく言い争い、叫び、髪を振り乱し、全身で感情をぶつけ合う壮絶なきょうだいゲンカを見せた。途中まで今田であることがわからないくらいのすさまじい熱演ぶりだ。

ちなみに、「おむすび」は橋本と共演経験があり、仲良しの佐野勇斗が夫役を演じていたが、「あんぱん」はその信頼関係をさらに上回る相手との共演となる。

ご存じ、北村匠海とは『東京リベンジャーズ』シリーズでの共演のほか、半沢直樹スピンオフドラマSPや映画『君は月夜に光り輝く』など6度目の共演で、相性抜群だ。

「あんぱん」は定番の時代設定で、史実ベースという安心感

また、完全オリジナルのストーリーで「ギャル」「栄養士」「震災」「コロナ禍」など盛り込む要素が多く、取材した情報、キャストのスケジュール、ドタバタコミカルな演出の手クセなどを調和させ、まとめ上げるのに難儀した感のある「おむすび」と違い、「あんぱん」は、やなせたかしという著名なモデルがいて、ベースの史実があるという安心感はある。