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「普通のいい人、優しい人」を描く難しさ

松井 でも、あの役は即決だったんですよ。前髪で目が隠れるので、表情を作るのが大変だし、相手の目も見えないので難しい役でしたが、演じていて面白かったですね。島本さんは、執筆中に登場人物のメモを作ったりされるんですか?

島本 年齢はメモしますが、それ以外はだいたい頭の中で発酵させていきます。実際に書き始めるまでの構想期間が長いので、最初から考えていたキャラクターのほうが、イメージが固まっているんですよね。後から出てきたキャラクターほど茫漠として、書きづらいことが多いです。

松井 書くのに苦労するのはどんな人ですか。

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島本 いい人、優しい人が1番書きづらいです。『ファーストラヴ』の迦葉みたいな人ってすごく書きやすいんですよ。

松井 なるほど(笑)。

島本 でも、我聞さんはすごく書きづらかった。いい人で、バランス感覚がある人は難しいんです。

松井 お芝居もそうかもしれません。ちょっとひねてる人や癖がある人って、その癖にもいろんな方向性があるので、キャラクターとして出しやすいんです。でも、「いい人」や、「普通の、よくいる女の子」という設定は難しいです。

©石川啓次/文藝春秋

しまもとりお 1983年東京都生れ。2001年「シルエット」で群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞を受賞。

まついれな 1991年愛知県生れ。2008年SKE48一期生としてデビュー。15年同グループ卒業。本年10月開始のNHK連続ドラマ小説「まんぷく」へのレギュラー出演が決まっている。

まだまだ続くこの対談。それぞれの「書くこと」「演じること」への苦しみと楽しみが語られています。続きは現在発売中のオール読物9月号か9月上旬発売予定の電子書籍「 【文春e-Books】第159回直木賞作家 島本理生のすべて」にて!
※こちらの電子書籍はオール読物9月号の対談と同じものになります。重ねてのご購入にご注意下さい。

ファーストラヴ

島本 理生(著)

文藝春秋
2018年5月31日 発売

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