一茂君との確執

里見 治 セガサミーHD会長
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馬主としても知られ、政界からスポーツ界、芸能界まで幅広い人脈を持つセガサミーホールディングスの里見治会長(83)。交友は半世紀近くに及び、ミスターが本音を明かす数少ない相手でもあった。

 長嶋さんとは忘れられない思い出があります。長嶋さんが松井秀喜さんと共に国民栄誉賞を受賞されることが決まった2013年のことです。発表は4月1日の夕方に行なわれる予定でした。ところが、それを読売新聞系列でもない、ある地方紙が4月1日の朝刊ですっぱ抜いたのです。当時は、誰が情報源なのかと話題になりました。

 実は発表前夜、私の自宅で行なった観桜会が発信源でした。70人くらいのお客様を招いて、庭にある枝垂れ桜を囲む毎年恒例の集まりなのですが、長嶋さんや国会議員も来られていました。私は予め長嶋さんが国民栄誉賞を受賞されることを聞いていたので、「せっかくなので、前祝いとしてこの場で発表してもいいですか」とその場にいたある議員に相談したところ、「絶対に外に漏れないならば」という条件で許可をいただき、シャンパンを開けてみんなで乾杯したのです。

ミスターとは長い交友があったセガサミーホールディングスの里見治会長(里見氏提供)

 ところが、招待客のなかに、私の地元、群馬県の上毛新聞の役員がいました。彼はどうしても記事にしたかったので先ほどの議員に確認をとった上で、翌朝の記事になったということのようです。

 私は獨協高校時代に野球部で投手をやっていた元球児なので、長嶋さんはずっと憧れの存在でした。初めてお会いしたのは、長嶋さんが現役を引退されて、最初に巨人軍の監督を務めていた頃です。親しくしていたタレントのせんだみつおさんが仲介してくれて、球場でお会いし、そのうちに定期的に会食をするようになりました。

 長嶋さんの2度目の監督在任時には、毎年、シーズンが始まる直前の3月下旬に激励会を開催。中国飯店や富麗華に約80人が集まり、長男の一茂君や次女の三奈さんが来たこともあります。

 長嶋さんはアテネ五輪の日本代表監督を野球人としての最後の大仕事と位置付けていました。その大役を果たした後は、晴れて私どもの男子プロゴルフトーナメント、セガサミーカップの顔として、オフィシャルな形で関わっていただく約束になっていました。

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source : 文藝春秋 2025年8月号

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