ほんとうに意味のあるがん検診 富裕層に人気の人間ドックから本音のアドバイス

安田 聖栄 四谷メディカルキューブ理事長
ライフ 社会 ライフスタイル 医療 ヘルス

国が検診を推奨する「五大がん」以外も要注意

(取材・構成 内田朋子)

 近年の治療の進歩は目覚ましいものの、がんは1981年から日本人の死因トップに居座り続けています。国立がん研究センターの推計によると、日本人男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで死亡しているそうです。

 私たちの体のDNAには、がんの発生に関わるがん関連遺伝子が1000個以上あり、それらが傷つくことでがんが発生します。また、子宮頸がんや胃がん、あるいはB型・C型肝炎から移行した肝がんはウイルスや細菌の感染がその大きな要因であることがわかっています。

Ⓒsiro46/イメージマート

 しかし、そのほかのがんは多くの場合、その原因を特定できません。関連遺伝子が傷つく原因は喫煙や飲酒、紫外線、発がん物質などさまざまです。そのため、私たちががんになること自体は、ある程度避けられない側面があります。そのような状況だからこそ、がんを早期に発見し、完全治癒に繋げることができたなら、それは意義深いことだと思うのです。

日本の受診率はなぜ低い?

 残念ながら国際的にみて、日本では国が主導する対策型がん検診の受診率が低いのが現状です。乳がん検診をみても、アメリカやイギリスでは受診率が75%前後なのに対し、日本は45%ほど。子宮頸がん検診はアメリカやイギリス、フランスなど欧米諸国で70%を超えているのに対し、日本は44%ほどです。この差はなぜ生じるか――。

 たとえばイギリスでは、検診が国策として組織化されており、対象者の名簿に基づいて個人宛てに受診勧奨を行うことで、高い受診率を維持しています。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2025年8月号

genre : ライフ 社会 ライフスタイル 医療 ヘルス