参政党の掲げる「國體」は天皇制を利用した昭和の軍事指導者に重なる
■日本の地下水脈〈完結〉
第1回 疫病とファシズムの足音
第2回 五つの国家像
第3回 無自覚的帝国主義からの出発
第4回 武装する天皇制
第5回 反体制運動の源流
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第56回 墨子とカントに学ぶ「非戦」の哲学
第57回 国家主義的右派政党の不気味な挑戦 今回
第58回 参政党現象と天皇機関説事件
第59回 父が最期に語った関東大震災の記憶
第60回 大衆よ、ファシズムに呑まれる
「戦後80年」「昭和100年」という節目の年の夏、日本は近年にない奇妙な地熱を帯びた「政治の季節」を迎えた。言うまでもなく参院選を焦点とする政党政治の新たな展開と、それに呼応する大衆的な動向のことである。現代日本の政治的な意識構造は、これまでの曖昧なグラデーションではなく、明確な姿をあらわし、画然とした分極化を示した。
そのことを語る前に、65年前を振り返っておきたい。戦後史のなかの「政治の季節」と言えば、まず60年安保闘争が頭に浮かぶ。いま改めて顧みると、安保闘争には歴史的な必然性があった。それは、戦後民主主義の世代による広範な怒りの表現であった。戦前の商工官僚であり東條英機軍事内閣の閣僚であった岸信介首相が、日本が対米従属を深めていく日米安全保障条約改定を強引に推し進めたことに対する大衆の反発であり、その反発のエネルギーの凄まじさは、かつて戦争を推進してしまったエネルギーを戦後民主主義下で反転させたものであるとも言えた。またそれは、第二次世界大戦の戦犯裁判を自ら行わなかった日本社会の代償行為でもあった。
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source : 文藝春秋 2025年9月号 国家主義的右派政党の不気味な挑戦

