ずっと生きづらさを感じてきました (聞き手 真山 仁・作家)
真山 玉三郎さんとのお付き合いは、もう30年以上になりますね。接点を不思議に思う読者がいるかもしれないので、少し説明します。私は小説家になる前、関西を拠点にエンタテインメントを持ち場とするフリーライターをしていました。ある日突然、玉三郎さんにインタビューして欲しいという依頼が舞い込んだのです。
玉三郎 1993年の犬山(愛知県)の明治村での舞踊公演の時でしたか。
真山 はい。でもその時、私は歌舞伎を生で観たことがありませんでした。何を聞いたらいいか、頭がパニックになりましたが、下手に知ったかぶりをするより、正直に何も知らない者として玉三郎さんの素顔に迫ろう、と覚悟を決めたんです。それをかえって面白がられたのか、その後食事に誘われたり、折に触れて雑談をするようになったりで、現在に至るというわけです。
玉三郎 たぶん距離が近すぎなかったのが良かったんだと思う。真山君は新聞記者をしていたこともあるし、書く小説もどっちかといえば社会派でしょう。僕は世の中のことをあんまり知らないけど、興味はあるから、色々教えてもらって勉強になりましたね。

真山 舞台を観た時も、ただ「良かったです」ではダメで、私のような素人の観客が、どこが心に響いて、どこがわからなかったかを率直に伝えるよう心がけていました。結果として、玉三郎さんの「アンテナ」の役割を果たしていたのだったら嬉しいです。
玉三郎 真山君は本当にアンテナになってくれましたね。前はそういう人が数人いたんだけど、身近になればなるほど、アンテナが本当のことを言ってくれなくなるんです。
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