公明を敵に回した高市が定数を削減できるのか
「私は、日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り拓く責任を担い、この場に立っております」
10月24日午後2時過ぎ、内閣制度創設140年の節目に、66人目にして初の女性首相となった高市早苗は、所信表明演説をこう始めた。尊敬するサッチャー元英首相に倣い、青のジャケットとパールのネックレスを身にまとっていた。
「統一教会!」「裏金問題の全容解明しましょう〜」とヤジが飛び交う中、高市は防衛費増額の前倒し、外国人政策の規制強化、憲法改正を訴え、保守色を鮮明に打ち出した。「強い経済」と5回も繰り返し、安倍晋三元首相の定番フレーズ「世界の真ん中で咲き誇れ」を用いて「日本外交を取り戻す」と強調。我こそは安倍路線の継承者だと力強くアピールした。
だが、10月4日の自民党総裁選で大方の予想を覆して小泉進次郎を破り、初の女性総裁となってから所信表明までの20日間は、まさに「茨の道」(高市)だった。
最大の誤算は公明党の連立離脱だ。総裁就任直後、高市が公明会館に足を運ぶと、斉藤鉄夫代表ら幹部が出迎えた。斉藤は祝意を述べた上で、自民党派閥裏金事件の真相解明と企業・団体献金の規制強化を要求し、靖国神社参拝や外国人政策への懸念も伝える異例の対応だった。石破茂前首相が退陣表明した9月7日にも斉藤は「保守中道路線の私たちの理念に合った方でなければ連立政権を組むわけにいかない」と、高市総裁誕生を牽制していた。

とはいえ、会談自体は友好的な雰囲気であり、高市は何の懸念も覚えなかったのだろう。直後の総裁就任会見で、「自公連立が基本中の基本だ。先ほど公明党をお訪ねし、斉藤代表をはじめ、皆様に温かく迎えていただいた」と述べている。
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