「ほぼ日手帳アプリ」プロジェクト

糸井 重里 ほぼ日会長

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「『ほぼ日手帳』のアプリ、出さないんですか?」

 ここ何年も、そう聞かれ続けてきました。2001年に「ほぼ日手帳」が誕生してから四半世紀。手帳は、年間100万部近くを売り上げています。これほど親しまれていることに僕らは誇りを持っていたし、便利だからデジタルにするというのはなんだか違う気がしていました。

 でも2025年10月、ついにリリースしたんですよ、「ほぼ日手帳アプリ」を。僕自身も毎日スマホを持ち歩いて便利に使っているし、それは多くの人が同じ。だったら「ほぼ日手帳」とスマホが助け合えるようにしたいと考えてみたんです。

 

 アナログとデジタルって対立するもののように捉えられているけれど、そうじゃない。両者はドレッシングのように乳化するものだと考えています。油分と水分は分離していても、シャカシャカと混ぜ合わせれば乳化してドレッシングになります。アナログとデジタルもそれと同じであり、混ぜ合わせるのが人間の役目なんです。

「ほぼ日手帳アプリ」のプロジェクトが本格的に始動したのは3年前。押入れのようにいろんなものを放り込めて、それでいて勝手に整理してくれるものが欲しい。そんなイメージをこのアプリで具現化しました。スマホにあるデータと連動させれば、スマホを持ち歩くだけで歩数や出かけた場所、撮った写真などの「今日のできごと」が記録されていく。そして、その日の記録の中から1枚を選べば表紙のようにアプリ画面に表示され、自分の雑誌を作っている感覚になれる。アプリにたまった写真を「ほぼ日手帳」にピッタリのサイズでプリントできる機能もあるので、手帳に写真を貼っていくのも面白いんですよ。

 アプリのキャッチコピーは「生きてるって、思い出をつくること。」。これは僕が考えました。原点であるコピーライターに戻って熟考を重ねる時間は苦しくとも楽しかったですね。

 ちなみにコピーは、万年筆で紙に書きながら考えます。長い文章であればパソコンの方が便利だけど、コピーはそうじゃないし、紙に落書きをしているうちにアイデアがわくこともある。僕にとっては、考えを深めるには紙と万年筆で、考えたものを一時的に記録しておくのはパソコンやスマホ。仕事においても、アナログとデジタルは対立ではなく融合させるものなんです。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

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