どの会社にもいるけれど、いま大切なのはアイデア
小西 博報堂へ入社した当初、じつは僕はマーケティング志望でした。でも、突然クリエイティブの部署に配属されまして。「コピーを書け」と言われても、右も左もわからなかったんです。
糸井 そうだったんですか?
小西 本当に何もできない新人で、1日に2回別々の先輩から呼び出されて「向いてないから辞めたほうがいい」といわれたほど。もうダメだと思って、辞表を用意したことも2度ありました。鳴かず飛ばずの日々、いろいろな広告本で勉強しても全然ピンときませんでしたが、そのなかで糸井さんのコピーはすごくいいなと思っていたんです。
たとえば「がんばった人には、NCAA.がんばれなかった人にも、NCAA.」や、新潮文庫の「想像力と数百円」。なんてシンプルな言葉で心を刺してくるのだろうと驚きました。ごく普通の言葉が、確かに商品を買わせる強い動機になっている。他のコピーライターさんとは目線がまったく異なる新しいセンスを感じていました。
糸井 僕の言葉はまっすぐすぎるんでしょうね(笑)。
小西 それこそが一番難しいことだと思っていて、じつは20代のとき、先輩がどこかの現場でもらってきた「糸井さん直筆の格言」が書かれた紙を見たんですよ。そこには「素考(すこう)」「素直(すちょく)」「素行(すこう)」という三つの「素」がありました。
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source : 文藝春秋 2024年10月号