1978年に出版され、累計300万部を突破した矢沢永吉(73)の自伝『成りあがり』。同書を制作した糸井重里氏が語る永ちゃんの魅力。
彼のすぐ近くにいて、ずっと矢沢永吉を見てきた長女の洋子さんが、おとうさんはどういう人ですかと訊かれて「365日、24時間、ずっと矢沢永吉です」と答えていた。矢沢について、これだけ見事な表現はないと思う。人間には表があって裏がある、陽があって陰があるということなら、家族だけが知る矢沢像も語れるのだろうが、矢沢永吉は最初から相反する二面を見せながら生きてきた男だ。だから、ずっと本人のままでいて不自由さも苦しさもない。
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source : 文藝春秋 2023年1月号