上場の狙いと「ゆるい」会社の未来を語る
3月16日、株式会社「ほぼ日」は東京証券取引所のジャスダック市場に上場しました。初値は5360円と、公開価格の2350円を大きく上回りましたが、「自分たちはそんなに高値の美人ではありません。いつか化けの皮が剥がれますよ」というのが僕の偽らざる心境です。
上場しておいてこんなことを言うと怒られるかもしれませんが、投資家の皆さんには「ほぼ日の株で大儲けは期待しないほうが良いですよ」とお伝えしたいですね(笑)。
コピーライターとして「おいしい生活。」や「くうねるあそぶ。」などの名コピーを生み出してきた糸井重里さん(68)。1998年に開設したウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」は広告を一切入れず、イチローや矢沢永吉、タモリから吉本隆明まで、多彩な大物が登場する無料の対談や読み物を多数掲載してきた。一方で、ほぼ日手帳に代表されるオリジナル商品や土鍋、腹巻、洋服にカレースパイスなどこだわりの逸品を独自に企画、販売。看板商品の手帳は61万部のヒット商品に育つなど、年間売上が約38億円に上るまでに成長してきた。社員約70名の上場企業を率いる社長となった糸井さんに狙いを聞いた。
実は10年以上前から上場に向けた準備はしてきたんです。狙いは、18歳になった「ほぼ日」という法人を“大人”にすることです。
僕は今まである層からは「商売人」と批判されてきました。パパッとコピーを書いてぼろ儲けする奴だと見下されてきました(笑)。でも一方では逆に「商売下手」と怒られたりもしてきました。タレントさんが副業をやっているような感覚で僕が「ほぼ日」を運営していると誤解されていたんです。
僕も来年には70歳。「ほぼ日」を「糸井重里の個人商店」というイメージから脱却させ、僕がいなくなっても続いていく組織にするにはどうしたらいいか、考えました。その答えが上場だったのです。
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source : 文藝春秋 2017年05月号