文藝春秋digitalのオンライン対談シリーズ「先崎彰容の令和逍遥 Vol.3」が、2021年11月24日に開催されました。
この日の対談は、90年代から社会批評や映画批評の第一線で活躍し続けてきた言論人である宮台真司さんがゲスト登壇。日本社会におけるパブリックの在り方、個人と国家の距離、日本の劣化社会化の進行を止めるための処方箋などについて、鋭く刺激的な議論が先崎彰容さんとの間で交わされました!
ふたりの対話は、柳田國男、宇野重規、トクヴィルなどの知識人たちの仕事を参照しながら始まりました。
宮台さんは「国家は個人を助けられない」「国家が助けることができるのは共同体であり、個人を助けることができるのが共同体です。そうして共同体に助けられているがゆえに個人は不安ではない、ある程度尊厳を保つことができる個人が民主制にコミットする」と、トクヴィル主義における個人・共同体・国家の関係を解説していきます。
その話から先崎さんは、コロナ禍で国の補償を求める声が人々から大きく上がったことに触れ、「たとえば商店街の人が餓死しないようにすることはお隣さんの助けがあればできるわけですよね。いまの日本はそういう感覚がない。個人に不平不満があるときは、いきなり国家にダイレクトにものをいう」「こういうところに重大な失われた部分があると感じました」と、現代日本における個人・国家の距離の近さを指摘しました。
その問題提起を軸として、話は政治について、被災について、地域性について、教育についてとさまざまな現代日本の諸問題へと触れていきました。そのひとつひとつにおいて、宮台さんと先崎さんが語った言葉が、いまを生きる我々ひとりひとりの生活と無関係でないことは、対談番組を実際に観ていただければ誰もが腑に落ちることでしょう。
対談終盤では、先崎さんから「現代日本への処方箋とは?」という根源的な問いかけも宮台さんへ向けられます。宮台さんがそれに返した答えは、決して現実離れしたものではありませんでした。
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source : 文藝春秋