「ホンダのバイク『スーパーカブ50』が2025年11月から適用される『排ガス規制』を受けて生産終了」。そのニュースを聞いて思いだしたのは、北海道テレビ(HTB)の番組「水曜どうでしょう」で「スーパーカブ」とともに走破した旅でした。その番組で事務所社長だった僕と所属タレントの大泉洋は、カブで東京〜札幌、京都〜鹿児島、東京〜高知を走り、さらにはベトナム縦断に挑み、合計すると約5000キロの旅をしました。
よくある、観光名所に“行く”旅番組とは違い、「どうでしょう」の旅企画の目的は“帰る”こと。帰りたいけど、すぐには帰れない大泉くんの姿を捉えたら面白いだろうと思い、始めた企画でした。僕は日頃から大型バイクに乗っていましたが、50ccのカブのような原付に乗るのは、ほぼ初めて。大泉くんはギア付きのバイクに乗ったことさえありませんでした。スタート地点の銀座で簡単な練習をして出発したことをよく憶えています。
カブで100キロも走れば、身体はもうヘトヘトになるのに、1日のノルマはその倍以上。ロケ初日の夜に1日の平均時速を計算してみたら17キロで、バカなことを始めてしまったと早々に後悔しました。
カブを町中で見かけた時のことを思い出してください。乗っているのは、たいてい出前をする蕎麦屋さんや仕事に向かう職人さんです。短い距離を断続的に走るためのバイクで、長距離を走るには向いていません。小さな車体は不安定で、振動がすごいし、速度も出ない。番組が進んで荷台に出前用の棚や各地の民芸品も積むようになると、重いし、風にあおられるしで、走りはより過酷になりました。
先頭を走るのはいつも僕。タレントに万が一のことがないようにと考えてのことでした。そのため、雨や風、ハプニングやアクシデントに最初に出くわすことになりましたが、素晴らしい光景にはじめに出会える役得にも恵まれました。

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