業の深い義時はどんな最期を迎えるのか
〈三谷さん、眠れません〉
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』撮影最終日の前夜、脚本家の三谷幸喜さんにメールを送りました。残る撮影は、北条政子役の小池栄子ちゃんと北条義時が会話するシーンのみ。「ラストは僕たち二人しか体験できないんだね」と話しながらお互いソワソワしていました。
三谷さんからの返信には、
〈最終日の前日にこんなことを言うことじゃないかもしれないけど、完璧な義時だったから安心してやってください〉とありました。そのあと、〈素敵なメッセージですね〉と返すと〈寝起きにしてはなかなか気の利いたことを書いたでしょ〉と、三谷さんらしいメッセージが続きましたが(笑)。そして翌日、最後の撮影に臨んだのです――。
2021年6月からはじまった撮影は1年5カ月の長旅でした。最初にオファーを受けたときはすごく悩みました。大河の主役はいつか絶対やりたいと思っていましたが、ここ最近大河の主役を演じた役者たちが心身ともにすり減っていたのを見てきたので、相当大変なんだろうなと……。それに北条義時についての知識もほとんどなかった。全く知らない鎌倉時代の武将を演じて途中で飽きてしまわないか、不安でした。でも、制作統括の清水拓哉さんの熱意やその時いただいた三谷さんの脚本が魅力的で引き受けました。それから、演出・吉田照幸さんや共演者など、日本ドラマ界で最高峰のメンバーと作品をつくることができるのも大きな後押しになりました。
終わってみれば、全く飽きるどころか、義時の人生を目一杯、楽しめました。視聴者の方にとっても先入観のない人物を演じられたこともかえって良かった。こんなことを言うと、来年の大河『どうする家康』で徳川家康役の松本潤君に申し訳ないですが、歴史上の有名な人物には、皆さん、一家言があります。けど、義時のことはそんなに知らないでしょうと思い切り演じられました。
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source : 文藝春秋 2023年1月号