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2020年に、移住先のパリでユーチューブを始めました。チャンネル名は「GOROGORO KITCHEN」。ゴロゴロしながら美味しいものを食べたい、そんな気持ちから名付けました。手作りのご飯や飼っている猫の世話など、パリとはいえ平々凡々なものですが、何気ない日々の暮らしを動画で発信しています。
6年目を迎えたいま、フォロワー数は50万人に届きそうなところまできました。映像制作会社や芸能事務所の重役の奥さまがご覧になり、「妻が見ているから」と旦那さまも愉しまれたり、「母が見ていて自然と見るようになった」「友人に勧められた」と数珠繋ぎで広がっているようです。2024年にはNHKで二度にわたって特集も組まれました。その反響の大きさに私自身も驚いています。
これまで210本の動画を公開しました。現在は世界124ヵ国の方にチャンネルをフォローいただき、うち日本が49.8パーセントを占め、次いでアメリカ、韓国の順です。日本人ユーチューバーには珍しいと言われますが、視聴者のほぼ半数が海外の方です。一時、ロシアが3番目に入ったこともありました。
米国ボストン大学大学院を修了後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社し、ファッション誌「25ans(ヴァンサンカン)」等の編集者となった井筒麻三子氏。その後、フリーのライターとして多くの雑誌に寄稿したが、突然ロンドンへ渡り、2014年にはパリへと移った。現在はエッセイストに加え、フランス国内の蚤の市巡りやパリでの生活を「ゆる動画」で発信するユーチューバーとして注目される。

私はもともと海外志向の強い人間でした。10代の頃は海外アーティストのプロモーションビデオや、洋楽番組が流行って、デュラン・デュランなどが大好きでした。そこから海外に行きたい気持ちが募り、米国に留学したのです。でも、高校生活は楽しい毎日だったものの、大学院在学中は辛かった。背が小さくて子どもっぽく見えるためか不動産業者や隣人に騙されたり、電話会社から法外な請求が届いたり。もう米国は充分だと思い、日本へ戻りました。
帰国後は編集者やライターとして働きつつも、再び海外へ目を向けたのは、多忙な日々からただ逃れたかったから。振り返るとフリーになってからの5年間はほとんど休んでいませんでした。それもそのはず、フリーランスは仕事を断れません。としたら、場所を変えてしまえとロンドンへ向かったんです。英語圏ならなんとかなると考えていました。
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