レーダー照射問題から考えるトップへのブリーフィング『韓非子 第一冊』金谷治 訳注

第149回

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
エンタメ 中国 読書

 日中間で武力衝突を引き起こしかねない深刻な出来事が起きた。

〈小泉進次郎防衛相は(一二月)七日午前二時過ぎ、防衛省で臨時の記者会見を開き、沖縄本島南東の公海上空で六日午後、中国軍機が自衛隊機に対し、二回にわたって断続的にレーダー照射を行ったと発表した。政府はレーダー照射が「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」(小泉氏)と判断。外務・防衛当局双方のルートで中国側に強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れた〉(朝日新聞、12月8日)

 本件に関しては、事実関係の確定が重要だ。〈防衛省幹部によると、中国軍機が自衛隊機に対し、攻撃目標を定める火器管制用のモードで使用した可能性が高い〉(同上)ということだ。他方、中国側の発表は異なる。

〈中国外務省報道官は八日の記者会見で、航空自衛隊の戦闘機に対する中国軍機のレーダー照射問題を巡り、「艦載機が飛行訓練中に『捜索レーダー』を作動させるのは、各国の通常動作であり、飛行の安全を確保するための正常な操作だ」と述べ、中国軍の行動を正当化した。火器管制用レーダーの照射があったかどうかは明言しなかった〉(読売新聞オンライン、12月8日)

 評者は日本政府の公務員ではないので、現時点では日中のどちらの主張が正しいかをあえて確定せずに考察する。中国機が火器管制用のモードのレーダーを使ったということならば、中国が武力衝突も辞さないと腹を括っていたということになるので、事態はこれまでと質的に異なる緊張段階に入ることになる。

 この点について防衛省防衛研究所中国研究室の山口信治主任研究官は次のように述べている。

〈中国はこれまでも日本などと政治的関係が悪化した際、軍事的に危険な行動を取ってきた。中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題は、日中の政治的環境が急激に悪化するなか、日本に様々な圧力をかける一環で、軍事的な圧力をかけたと理解すべきだ。現在の中国には、日本に圧力をかけてよいという雰囲気が強くある。レーダー照射が誰の指示かはわからないが、偶発的な事件でも、パイロットの独断でもないだろう。/長時間レーダー照射が行われていることから火器管制レーダーが使用されたと考えられ、攻撃とみなされても仕方がない、危険な行為だ。ただ、中国側も一気に軍事的なエスカレーションを望んでいるわけではないだろう〉(朝日新聞デジタル、12月9日)

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source : 文藝春秋 2026年2月号

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