7月7日、トランプ米大統領が日本に課す新たな「相互関税」の税率を25%にすると表明した。
〈自身のSNSに、日本政府宛ての書簡の文面を投稿した。8月1日に発動する。トランプ氏が4月に公表した日本への相互関税は24%だったが、税率を引き上げる。一方、日本側が貿易障壁を撤廃すれば、税率は変更の余地があるとも記した。/自動車には25%、鉄鋼・アルミニウムには50%の品目別関税がすでに課されているが、新しい相互関税率はこれらとは別枠。自動車や鉄・アルミに、さらに25%が加算されることはない〉(朝日新聞デジタル版、7月8日)
重要なのはトランプ政権が本気で保護主義に舵を切った現実を見据えることだ。米国が保護主義に舵を切れば、全世界がそれに追従せざるを得なくなる。日本も関税政策を柱とする経済戦略を策定することになろう。当然、それに伴って産業構造の転換が起きる。突き放して見ると、グローバリゼーションが行き過ぎたため、資本主義が生き残るために保護主義的政策転換が必要とされているのだ。だが、トランプ米大統領が口にする数字に積算根拠があると考えると事柄の本質を捉え損ねる。
〈トランプ米大統領が7日に公表した日本への「相互関税」の新たな税率は、従来に1%幅足した25%だった。日本の貿易姿勢を批判し、一時は「30%や35%の関税をかける」とも言い放ってきたが、示されたのは既定の交渉期間の延長だった〉(朝日新聞デジタル版、7月8日)
トランプ氏の口にする数字は、同氏の心を反映したものだ。その点で、35%や30%ではなく、25%となったことは日本に取って悪い話ではない。トランプ氏が日本に対して強い悪感情を持っているわけではないという証左だからだ。
ブラジルに対しては、関税率を10%から50%に引き上げた。
〈動機はトランプ氏の「個人的な感情」(AP通信)との見方が広がる。書簡では、ブラジルのボルソナーロ前大統領が裁判にかけられていることを「魔女狩りであり、直ちに終わらせるべきだ!」などと批判した。/過激な発言などで知られるボルソナーロ氏は「ブラジルのトランプ」とも呼ばれ、トランプ氏とは長く友好関係にある。だが2022年の大統領選で敗れ、自身の敗北を覆そうとしたクーデター未遂罪などで起訴された。盟友が苦境に陥るなか、トランプ氏は現政権に高関税で圧力をかけることで援護射撃する狙いとみられている〉(朝日新聞デジタル版、7月11日)
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