【オ】「オールドメディア」名付け親についての誤解

飯間 浩明 『三省堂国語辞典』編集委員
ニュース 読書

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです

 2025年の「新語・流行語大賞」のトップテンに「オールドメディア」が入り、青山繁晴参議院議員が受賞者に選ばれました。ところが、表彰式では青山氏が「名付け人」と紹介され、複数のメディアでも「名付け親」と報道されました。これは誤解を招きます。

「オールドメディア」は、たしかに2024〜25年に非常に広まりました。24年の兵庫県知事選挙、25年の自民党総裁選挙で、マスメディアの見立てとは違う結果が出て、SNSでは従来メディアに対する批判が飛び交ったのです。

 ただ、このことば自体の源流は1980年代までさかのぼります。当時、「ニューメディア時代」と盛んに言われました。衛星放送・ビデオ・ファクシミリなどが一般化しつつありました。それに対して、活字や地上波放送などの従来メディアが「オールドメディア」と呼ばれるようになったのです。

 インターネットが普及してくると、それとの対比で「オールドメディア」について論じられることが多くなりました。たとえば、『朝日新聞』2000年10月20日付の「論壇」では〈パーソナルなニューメディア=インターネット〉と〈マスに向けてのオールドメディア=地上波テレビ・新聞など〉という枠組みが再検討されています。

 さらに、SNS時代になると、「オールドメディア」は批判や揶揄の対象になりました。2009年のツイッターの投稿には、〈いわゆるオールドメディアのレベルが低いうちは〉〈オールドメディアの偏向報道〉のように否定的な文脈で使われる例もあり、今日の用法につながっていると考えられます。

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source : 文藝春秋 2026年2月号

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