松下幸之助の残像を追いパナソニックの改革は失敗ばかり

衰退する家電業界

秋葉 大輔 ジャーナリスト

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いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

 2021年9月、パナソニックホールディングス(HD)はサプライチェーンの管理システムを手掛ける米ブルーヨンダーを買収した。買収額は8600億円で、パナソニックHDにとって過去最大の投資案件になった。しかし買収完了から半年でブルーヨンダーCEO(最高経営責任者)が退任するなど同社の経営が混乱。パナソニックHDの業績に貢献するメドがいまだに立っていない。

 買収を主導したのはHD傘下、パナソニックコネクトの樋口泰行CEOだ。ブルーヨンダーについて「軌道に乗り始めた感触がある」などと強気の発言を繰り返してきたが、26年3月の退任が決まった。社内からは「個人的な事情と言っているが、経営責任を取らされたのだろう」との声が上がっている。

 樋口氏は1980年に松下電器産業(現パナソニックHD)に入社した。その後、日本ヒューレット・パッカードやダイエー、日本マイクロソフトなどの社長を歴任。2017年、そんな実績を津賀一宏前社長に買われてパナソニックHDに出戻った。

パナソニックホールディングス創業者の松下幸之助 ©文藝春秋

 津賀時代のパナソニックHDは樋口氏を筆頭に外部人材を積極登用している。米グーグル出身の松岡陽子氏、独SAP日本法人出身の馬場渉氏、電機業界の著名アナリストだった片山栄一氏など。しかしいずれも大した成果はなく、馬場氏に至ってはひっそりと会社を去った。

「パナソニックは多様な価値観を取り入れるのが下手。外部の企業や人材を活かせず、古い慣習を守り続けているうちに、電機業界で周回遅れになってしまった」。パナソニックHDのOBはそう語る。

 周回遅れは時価総額で比較するとより鮮明になる。バブル経済真っ盛りの1990年は約7兆円弱と日本トップクラスだったパナソニックだが、99年には4兆~5兆円にまで落ち込み、足元は4兆円弱とさらに低下した。対して同業の日立製作所は99年時点で2兆~3兆円、ソニーは6兆円程度だったが、それぞれ18兆円、25兆円に上昇している。

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