いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
「全国の小中学生一人ひとりに一台の電子端末を配布する」をスローガンにGIGAスクール構想が始まって、5年が過ぎた。すでに「週に3回以上、授業で電子端末を使う」という学校の割合は9割超にも上り、現在は端末の買い替えが着々と進んでいる。ところが今、デジタル機器を使った教育をめぐり、世界で大きな論争が巻き起こっている。
「デジタル教育で日本人がバカになる!」こんなタイトルのついた特集キャンペーンを「週刊文春」でスタートしたのは、2024年11月だった。教育先進国と言われるスウェーデンで「紙の教科書への回帰」が起こっている、というニュースがきっかけだった。06年から生徒に一人一台の端末配布を進めてきた同国では、学力低下が問題視され、再び紙の教科書が使われ始めたのだ。
筆者はこの特集の取材と執筆を担当し、世界各国の20名以上の研究者や政府関係者らに、タブレット端末を使った教育がどのように普及したのか、そして子どもたちはその結果「バカになったのか」――を、尋ねた。
まずは海外の事例から見てみよう。先述の通りスウェーデンでは、15歳時点での国際学力調査・PISAランキングの順位が10年代以降、ジリジリと後退している。最新の22年の順位では、「読解力」の分野で前回の11位から18位に転落。PISA順位とデジタル機器との直接の因果関係は分かっていないものの、同国の教育省は学力低下の懸念を指摘する。25年7月からは教育法と図書館法の改正により、すべての学校に対して専任職員のいる図書館を設置することが義務付けられた。

同じ北欧のフィンランドでも、デジタル端末を使った教育が見直されている。注目したのは、人口3万人の南部都市リーヒマキ市だ。同市では約10年前から1人につき一台の端末が配布され、中学校の授業では紙の教科書はほぼ廃止されていた。ところが、生徒の集中力の低下やメンタル不調などの懸念が寄せられるようになり、24年から数学や英語などの教科で紙の教科書が復活することになった。同市の教育部長であるヤリ・ラウスバーラ氏は取材に対し、
「学校や保護者たちからのフィードバックは、好意的なものばかりだ」
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