日本経済の復活には、中小企業の活力が必要だ
関根 我々は開成高校野球部のチームメイト。私がキャプテンでショート、岸田はセカンドでした。
岸田 2005年に開成野球部が甲子園予選にあたる東東京大会でベスト16になったことがあって、その快進撃は後に『弱くても勝てます』というルポルタージュになり、ドラマ化もされた。だけど我々の代は、弱くて勝てなかったなあ。

関根 東東京大会は、くじ運がよければ神宮球場でプレーできたんだよね。高2の夏、キャプテンとして、くじ引きで神宮球場を引き当てたんだよ。意気揚々だったんだけど、試合は7回コールド負け。しかも最後は岸田のトンネルで負けちゃった(笑)。
岸田 言い訳のしようがない。
関根 でも偉いのは、何年か前の開成OB会で先輩たちが「岸田のトンネル話」で盛り上がっても、嫌な顔ひとつせずニコニコお酌して回ってたこと。当時、岸田は外務大臣。なんて人柄ができているんだろうと思って、今でも印象に残ってる。
岸田 だって、その時はそうするしかないでしょう(笑)。
関根 岸田は昔から本当に真面目だった。野球部時代の合宿では練習でへとへとになった後、グラウンドから宿舎まで、5キロくらいの道のりをランニングしなきゃならない。同期たちが途中でサボる中、岸田は一生懸命走って、宿舎に着くなり倒れこんでいた。その性格のまま政界でステップアップして、首相まで上り詰めたんだから、すごいなと。
一番驚いたのは12年に宏池会の会長になった時。よくわからないけど、派閥の運営にはお金がかかるって聞くので、正直、「そんなことが岸田にできるのか」と思った。

岸田 それはちょっと昔の派閥のイメージだね。もちろん政治資金規正法の範囲内で、めいっぱい集金するのも大事な仕事だけど、それよりも重要なのは若手議員の育成かな。
関根 20年秋に岸田が自民党総裁選に初出馬した時には、個人的にメチャクチャ応援したよね。テレビでスピーチを見て「それじゃダメだ。先に結論を言ってから説明した方がいい」なんてメールしたり(笑)。
岸田 それは丁寧なメールをもらったよね。
関根 銀行員時代に広報業務も担当していたので、どうやったら伝えたいことがきちんと伝わるかをずっと考えていたからね。初出馬ではいろいろ難があったけど、21年、当選した二度目の総裁選での発信はすごくよかった。その後も気づいたことがあれば、「今、こういう問題が起きてるよ」というような、現場の、生の声をメールで送って。政治資金パーティをめぐる裏金問題が世間の注目を集めた際には、派閥に関しての意見を言ったこともあったね。ずいぶん差し出がましいことを言ったけど、いつも温かく受け止めてもらっていた。
岸田 会えばアドバイスももらったし、メールもしょっちゅうくれる。アドバイザー的存在でしたよ。
共に銀行で融資業務を経験
関根 今回の対談のテーマは「中小企業を救え」。政府系金融機関だった商工中金は、16年に危機対応融資の不正が発覚しましたが、昨年に民営化を果たし、真に中小企業専門の金融機関として新たなスタートラインに立ちました。中小企業は日本企業の99.7%を占めている。つまり、日本経済の成長の鍵は中小企業が握っていると言っても過言ではありません。
岸田にも政治家としていろいろ考えもあると思いますが、その前に我々の共通点を話しておくと、奇しくも、2人とも早稲田大学卒業後に銀行に入行し、中小企業への融資を経験している。

岸田 関根は第一勧業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)。私は1982年から5年間、日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)にいました。
関根 当時はどういう業務をしていたの?
岸田 本店で外国為替の仕事に2年半従事したあと、高松に赴任して、融資係兼営業マンを2年半やった。長銀は四国で高松にしか支店を構えてなかったんだよね。四国4県全てを担当するから、四国中を回っていた。高速船で瀬戸内海の島々を巡ったりもしたなあ。
関根 四国といえば海運業だね。
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