名古屋公演での5人は、あまりに眩しくって涙が出た
5月31日をもって活動を終了した「嵐」。ラストツアーとして5大ドームで全15公演を行った。
5人の最後の勇姿を目に焼きつけんと、厳しいチケット争奪戦をくぐり抜けて集まったのは約75万人。その中のひとりに小説家・蝉谷めぐ実さんがいた。
江戸時代の全盲の国学者・塙保己一(はなわほきいち)を描いた『見えるか保己一』(KADOKAWA刊)で第39回山本周五郎賞を受賞したばかりの蝉谷さんが、出会いからラストツアー観覧に至るまでの「嵐道」を全力で綴る。
いきなりだが、大野くんは私の命の恩人である。――なんて書き始めると、オタクはこれだからと呆れる方もいらっしゃるだろう。しかし、これは決してオタク特有の誇大表現というわけではない。たしかに私は大野くんに命を救われたことがある。
ときは遡って大学時代、2年生だった私は友人にインド旅行に誘われた。何者でもない大学生にとってその土地の名前はあまりにも甘美、しかし腹痛持ちにはだいぶ辛い場所に思われる。断ろう。そう思って口を開いたところで、友人からのこの言葉である。「大野くんの映画のロケ地巡りしようよ」気がつけば、私はインドの領事館にビザを取りに向かっていた。

お察しの通り、私と友人は嵐のファンでしかも大野くん、大野智のファンである。ドラマも毎週録画、可能であれば視聴率のためにテレビの前で待機タイプであったから、藤子不二雄Ⓐ先生の漫画が原作で、大野くんが主演をつとめた『怪物くん』がドラマで放送されていたときは、毎話終わるたび感想戦を繰り広げていた。その『怪物くん』がついに映画化。舞台がインドということで決定したインド旅行であったが、インドに到着しても当初の目的に違わず『怪物くん』のロケ地巡りに終始した。購入したすべてのガイドブックで事細かく行き方が説明されていたガンジス川もタージマハルも眼中になかった。腹を壊すというインドならではの実績も解除した最終日。さすがに異国の地での5泊6日に疲れ切った体が求めたのはマッサージで、拙い英語を駆使してようやくホテル近くのマッサージ店を予約した。
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