46年前、僕は人生の端境期に愛子先生と出会った
佐藤愛子さんの訃報を聞いたのは、5月15日のことです。4月末に亡くなられていたと、文藝春秋の編集者が電話で知らせてくれました。僕は犬の散歩中でした。
一報を聞いて、ひどく寂しかった。月並みな言葉だけれど、ただただ寂しかった。これまでもいろいろな交遊の友人、知人、仕事上の先輩といった方々を見送ってきました。そのなかには一時期生活を共にした人だっている。だけど、ここまで寂しい気持ちになったのは初めてです。
もうちょっと他の言葉がないものかと我ながら思うけど、寂しい、しか出てこないなあ……。
著作が300冊を超える時代小説の第一人者・佐伯泰英さん(84)。佐伯さんが初めて時代小説を上梓したのは1999年、57歳のときだが、それ以前には海外を舞台にした冒険小説を書いていた時代、さらに以前にはカメラマンとしての時代がある。主な被写体はスペインの闘牛であり、1976年には初の著作『闘牛』を新書として刊行している。
氏が、4月29日に102歳で亡くなった作家・佐藤愛子さんと出会ったのは、そのカメラマン時代だった。

僕はカメラマンとしては、集英社で仕事をすることが多かった。月刊「プレイボーイ」や女性誌の「non・no」などの媒体ですね。
1980年のはじめだったと思うけど、同社の編集者、白石さんから、佐藤愛子さんがお嬢さんとスペインを旅行し、その旅行記を「non・no」に連載することになった、ついてはカメラマンとして同行してくれないか、と声がかかったんです。
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source : 文藝春秋 2026年7月号

