「食べ物ピラミッド」、「みんな家来」家族だから知る愛子さん
(構成・矢部万紀子)
『血脈』などの小説や、『九十歳。何がめでたい』などのエッセイで知られる佐藤愛子さんは現在102歳。新刊の『ぼけていく私』(小社刊)は愛子さんの語りと、娘の響子さん、孫の桃子さんによる対談で構成されている。同書の始まりは2年前、100歳の愛子さんへの二度のインタビューだった。ユーモラスかつ冷静に自分を見つめる愛子さんだったが、その後、体調悪化という事態に。そこで響子さん、桃子さんに「母」「祖母」を語っていただくことになった。様々な切り口で迫る、忖度なしの「佐藤愛子論」、今回は特別篇として「食」について――。

響子 このお正月、母のいる施設に花びら餅を持っていったんです。大好きだったから。
桃子 「花びら餅5個買ってきて!」って言われて、買ってくると独り占めしてたね。
響子 そうしたら施設の人に餅はダメだと言われてしまったんです。
桃子 のどに詰まらせたら、責任を問われますから。
響子 食いしん坊の母でした。好きなものを食べて逝く、そんな生き方をさせてあげたいけど、施設にいるとできないんです。
桃子 11月のお誕生日は施設の方も祝ってくれて、おばあちゃん、ケーキを沢山食べてたじゃない。
響子 ああ、確かに。あの日はおいしそうに沢山食べていましたね。
食べるのも作るのも好きな人でしたね。上手でしたよ、料理は。習いに行ってましたから。
桃子 花嫁修業として習わされたんでしょ?
響子 違う、違う。戦後、最初の結婚相手の所を出て、東京に来てから習ったんだから。聖路加病院に勤めていた時に、お友達と一緒に面白半分で行っていたの。
桃子 ホテルのシェフに習ったって、わりと自慢げに言ってたよね。
響子 厳しい教室で、お友達とべちゃべちゃ喋ってたら、「そこ、喋らない」って怒られたって言ってました。
桃子 その時のレシピ本、たぶん今もどこかにあるよね。プリンを作る時、分量は正確にと言って、その本を見てたから。
響子 黄色い本だよね。
桃子 単位は「匁(もんめ)」でした。
響子 「主婦の成れの果ての作家」と言っていましたが、仕事の合間に、当たり前に料理をしていました。
桃子 休憩ってなったら私はゲームをするけれど、祖母はそんな感覚で料理をしていたと思うんです。
「作家は料理が好き」
響子 我が家には私が小さい頃からお手伝いさんがいました。大まかにはお手伝いさんが掃除、母が料理で。父(作家の田畑麦彦氏)が作った借金を返すために必死に書いていた時も、直木賞を取って売れっ子になってからも、料理はずっと母でした。
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