代表作『100万回生きたねこ』で知られる絵本作家・エッセイストの佐野洋子(さのようこ)(1938―2010)。小説や脚本、翻訳など多方面で活躍した。長男で絵本作家の広瀬弦(ひろせげん)氏が母の思い出を振り返る。
僕の母である佐野洋子のイラストエッセイ集『ヨーコさんの“言葉”』(講談社)の第4弾が出たそうです。シリーズ4作目にして、僕が初めてしっかり登場していると聞いています。

なぜ、伝聞かというと、自分があの人の作品に出ることをあまり快く思っていないので、できるだけ関わらずにいたいのです。
これまで僕は何度か彼女の作品の中で描かれてきました。しかし、その世界にいるのは、僕の知らない僕です。ある一部分だけを切り取られ、一方的な視点で書かれている。大袈裟で、嘘がちりばめられているから、それがずっと嫌で仕方ありませんでした。
10代の終わりごろには、「俺のことは書くな」と強く言ったこともあります。でも、本人は納得しない顔で「なんで!」と怒っていました。しかも、その後のエッセイで僕は、名前が出ない代わりに「子孫」とか変な呼び名で登場している。本当に勘弁して欲しかった。
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source : 文藝春秋 2018年6月号

