女優の高峰秀子(たかみねひでこ)(1924―2010)は、月刊「文藝春秋」に「巻頭随筆」などを寄稿するなど、名エッセイストとしても知られた。高峰の魅力を評論家の川本三郎(かわもとさぶろう)氏が綴る。
古い日本映画の上映で知られる東京の神保町シアターで、2017年、これまで10年間に開催された特集でどれがよかったか、観客の人気投票を行なった。
第一位は堂々「女優・高峰秀子」だった。
現在でも高峰秀子の人気は揺ぎない。子役時代から50年にわたる女優生活のなかで、代表作は数多い。普通、どんな大スターでも代表作というと多くて5本ほどだが、高峰秀子の場合は戦前の子役時代の「綴方教室」(38年)「馬」(41年)から戦後の「二十四の瞳」(54年)「浮雲」(55年)「名もなく貧しく美しく」(61年)「乱れる」(64年)と挙げてゆくと切りがない。

映画俳優というと映画会社に専属するのが当り前だった時代に、高峰秀子は早くからフリーの道を選んだ。自立精神がある。会社のお仕着せの作品ではなく、自分で選ぶことが出来る。代表作が多くなるのはそのため。とくに木下惠介と成瀬巳喜男の作品が多い。
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source : 文藝春秋 2018年1月号

