生成AIが急速に普及する現在、ハインリヒ・リッケルト(1863〜1936年)の『文化科学と自然科学』を読み直す意味は大きい。この本でリッケルトは、自然科学と歴史学・文化科学は何が違うのかを問うている。しかし、これは単なる文系と理系の区別ではない。同じ現実を前にしても、人間が何を知ろうとするかによって、知識の組み立て方そのものが異なるという認識論上の問題である。膨大な情報を瞬時に整理し、共通項を見つけ、一般化する生成AIの時代だからこそ、「一般化できない個性的なものをどう捉えるか」というリッケルトの問いは新たな意味を持つ。

リッケルトは西南ドイツ学派、新カント派を代表する哲学者である。彼にとって自然科学と文化科学は、研究対象の違いではない。同じ現実から一般的法則を取り出そうとするのか、それとも一回限りの個性的なものを理解しようとするのかによって、科学の方法は異なる。
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