激戦地ラバウルで10万人の軍人の命を守り、終戦後も部下たちに寄り添い続けた旧日本陸軍大将の今村均(1886〜1968)。『今村均―敗戦日本の不敗の司令官』(PHP新書)の著者・岩井秀一郎氏が、責任論の観点からその生き方を描く。

人間の真価は、順境にある時よりも逆境にある時の方が問われる。
太平洋戦争における軍人で考えると、例えば牟田口廉也などがこの範疇に入るだろう。牟田口は戦争初期、成果を上げるが、戦局が傾いてから主導したインパール作戦は惨憺たる結果に終わった。
一方、牟田口と対照的な人物が陸軍大将の今村均である。今村は陸大首席のエリートながら陸軍省や参謀本部ではなく、部隊指揮官として名を遺した。
太平洋戦争初期の今村の活躍も「順境」の波に乗っていた。第16軍司令官としてオランダ統治下のインドネシア攻略を担当し、ジャワ島は9日間で攻め落とすという快挙を見せた。
やがて日本の「順境」も終りを告げる。昭和17年6月、海軍がミッドウェー海戦で敗北、主力空母を失う。その直後、ガダルカナル島(ガ島)を巡って日米両軍の激しい戦闘が開始された。同年11月、今村は第8方面軍司令官としてニューブリテン島のラバウルに着任し、この戦いを指揮することになる。
しかし今村でもガ島の不利はどうにもならず、大本営は同島からの撤退を今村に命じる。ここで今村は、今後の戦局を見通して長期的な計画を立てた。やがて交通が途絶するであろうことを予測し、自給自足を計画したのである。経理部は食料、獣医部は馬糧と蹄鉄、軍医部は薬と治療資材、兵器部は武器弾薬の現地調達を命じられた。今村は、軍隊を率いる者の「責任」として、自分達だけで戦うことが可能なように対策したのである。
年額プランがおトク!月あたり900円で全記事読み放題
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
オススメ!
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2026年11月号

