明智光秀――「本能寺の変」で信長を裏切る有名な最期の一方で、前半生は謎に包まれた戦国武将だ。長谷川博己さん(43)は、大河ドラマ『麒麟がくる』で主役の光秀を演じる難しさを実感している。
長谷川博己(はせがわひろき・俳優)
「脚本の池端俊策さんから、『本能寺のゴールから人物、造形を逆算しないでほしい』と言われました。とらえどころがない人物で、台詞にも『……』が多く、『これは長谷川さんには厳しいかもね〜』と笑いながら言われたことも。主君との関係に悩みながら成長する姿を、模索しつつ演じています」
そして、「光秀を通して、『今』を描きたい」と力強く語った。
「光秀が抱く『日本がどうなるのか』という不安に、現代との同時代性を感じました。下剋上の戦国時代にあって、王が仁のある政治を行うときに現れる麒麟を、光秀は求めた。その価値観は異端だからこそ、『今』に通じるのではないでしょうか」
合戦シーンの撮影を早朝から行う。時代劇への出演も多く、「蹲踞の姿勢や馬の扱いの経験があったので、特別なトレーニングは不要でした」。
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source : 文藝春秋 2020年6月号