日本のソニー・ミュージックと韓国の芸能プロダクション、JYPエンターテインメントが組んで誕生したガールズグループ『NiziU(ニジュー)』。2020年12月の本格デビューの前にプレデビュー曲をネットなどで公開したところ、YouTubeでの再生回数は約1.8億に達した。この爆発的な人気を、自身もアーティストであり、音楽プロデューサーでもある『NONA REEVES』の西寺郷太氏が分析する。
西寺氏(ミュージシャン・NONA REEVES)
「会いたいと思っても簡単に会いにゆけない」
NiziUがデビュー前のタイミングから老若男女幅広い世代に認知され、愛されたのは、「コロナ」という2020年のエンタテインメント界のみならず、社会全体を襲ったピンチを最大のアドバンテージに変えたことが大きいと思います。
コロナ禍で世界中が自粛して、人がネットやテレビでしか繋がれない、抑圧された日々。ステイホームで子供たちが登校も出来ない、という空洞のようなタイミング。まさにその時、NiziUのメンバーを選抜するオーディションの様子が地上波テレビ放映と有料チャンネル、SNS、ネットの相乗効果をもたらしながらリアルタイムで届きました。
2019年7月から札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄とハワイ、LAの計10箇所で地域予選オーディションが行われ1万人以上の応募の中から選ばれた合格者が、4泊5日の東京合宿に。最終選考に選ばれた14人が、デビュー準備のため韓国に渡って合宿生活を送り始めたのは2019年12月のこと。そこから10カ月……。握手会やサイン会、ライヴ、フェスを含むイベントでフィジカル(CD)やグッズを売り、写真を一緒に撮影するなど「直接の接触」こそがアイドルの人気や運営の収入を下支えしてきた近年の日本アイドル業界。パンデミックの中、その真逆を行ったNiziUだけが「会いたいと思っても簡単に会いにゆけない」極限の状態を味方につけ、神秘性を帯びることに成功したというわけです。
実は今、僕がこの文章を書いているのは11月末日で、デビュー・シングル『Step and a step』のミュージック・ビデオは公開されてはいるものの、12月2日のデビュー日、CD発売日を迎えてすらいない状況。ただすでに発表され大ヒットしているプレデビュー曲『Make you happy』、そして特に今回届けられた『Step and a step』の歌詞、メロディ、サウンド、ミックス、映像、ダンスを浴びて、プロ音楽家、プロデューサーとしても、一リスナーとしてもその高いクオリティに心から感動してしまいました。これからは日本の芸能事務所もレコード会社も彼女たちを研究し、一斉に真似るはず。今年AKB48が『紅白歌合戦』から外れ、NiziUが初参加することも、流れの変化の象徴だと思います。
NiziU(グローバル・ガールズグループ)
ⒸSony Music Labels Inc./JYP Entertainment.
J・Y・パークの凄さ
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2021年1月号