西村晃 一度見たら中毒になる妙な色気の“麻薬顔”

加藤 武 俳優

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晩年こそテレビで二代目の水戸黄門役を演じて人気だったが、全盛期は悪役が多かった俳優の西村晃(にしむらこう)(1923―1997)。長い交友の俳優、加藤武(かとうたけし)さん(1929―2015)が、その素顔を語った。

 

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 僕は西村晃のことを“晃(こう)ちゃん”と、ちゃん付けで呼んでました。戦時中に築地小劇場でデビューしている大先輩だけど、気がおけない、偉ぶらないお人柄でした。

 今村昌平監督のブラック・コメディ「果しなき欲望」で共演したのが初対面。殿山泰司、小沢昭一と曲者(くせもの)揃いのなかでも、晃ちゃんの存在感はピカ一。いい役者だなァと思って、友達づきあいさせてもらったんです。

「水戸黄門」も演じた西村晃

 当時新劇俳優が映画に出れば、決まって悪役をやらされました。僕も随分ギャングに扮したけど、晃ちゃんの売れっ子ぶりは凄かった。年に20本以上はこなしてたんじゃないですか。或る日劇場(こや)に入ったら、晃ちゃんが2本立ての両方で女を犯してました。おまけに予告篇でも時代劇と現代劇の2本で女を犯してるんで、客が「いい加減にしろ!」と怒鳴った。場内大ウケ(笑)。

 日活アクションって、中身はどれも同じでしょう。でも晃ちゃんは、スタイルに凝るんですよ。だから、晃ちゃんが今度はどんな扮装の殺し屋を演(や)るか、ファンと共に、僕らも楽しみだったんです。

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source : 文藝春秋 1998年12月号

genre : エンタメ 芸能