AIに研究者はどう向き合うか

第29回

大栗 博司 物理学者

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ビジネス サイエンス

 6月12日、カリフォルニア工科大学の卒業式に参列しました。

 大学院長が、全学教授会で認証された博士候補者の名簿を学長に手渡すと、学長が「博士の学位と、それに伴う権利、特権、責任を授ける」と宣言します。

 私は、物理学・数学・天文学をまとめる部門長を務めているため、この分野で博士号を受ける学生の名前を、一人ひとり読み上げました。新博士が壇上に上がると、理事長が青いベルベットのフードを博士の肩にかけ、学長が学位記を授与します。

 博士号は、自らの力で価値のある発見をした者に授けられるものです。それまで指導教員を「プロフェッサー」と呼んでいた学生も、博士号を取得した後はファーストネームで呼び合うようになります。これは、真理を探究する仲間に加わったことの証しです。

 しかし、名前を呼ぶのは簡単ではありません。インド系の名前には音節が多くて長いものがあり、中国系の名前では声調が大切です。東欧系の名前には母音を挟まずに子音が連続するものもあります。

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source : 文藝春秋 2026年9月号

genre : ビジネス サイエンス