
■地図を持たない旅人〈完結〉
第1回 夜空はなぜ暗いのか
第2回 鏡の顔はなぜ反転するのか
第3回 「キツネ」だったオッペンハイマー
第4回 クオンツの帝王はなぜ成功したか
第5回 なぜ「ひも」の理論を研究するのか
︙
第25回 知ることを欲する
第26回 ネットの「南京錠」が破られる?
第27回 宇宙を見る鏡
第28回 教科書に載らない科学の現場
第29回 AIに研究者はどう向き合うか
最終回 科学は回り道をしながら進む 今回
7月半ば、ルイジアナ州の州都バトンルージュに1泊し、翌朝レンタカーで東へ向かいました。目的地はLIGOと呼ばれる重力波望遠鏡。2017年のノーベル物理学賞の授賞対象となった観測施設です。
バトンルージュを離れると道の両側は深い森になります。LIGOの私道に入って2キロほどでようやく建物が現れ、レーザー光を通す真空の管が森の奥へ延びていました。
LIGOの本部は、私が部門長を務めるカリフォルニア工科大学(カルテク)の物理学・数学・天文学部門にあります。LIGOに続いて建設された重力波望遠鏡である日本・神岡のKAGRAとイタリア・ピサ郊外のVirgoは訪ねたことがあるのに、肝心のLIGOに来るのは初めてでした。
LIGOには直角に交わる2本の腕があり、それぞれ長さが4キロあります。腕の中にはレーザー光を通す真空の管が通っています。
地球の丸さのために、地面から水平に直線を延ばすと、4キロ先では地表から1メートル以上も浮きます。それを支えるために装置全体が土手の上に設置されています。
宇宙の中でブラックホールの合体など急激な現象が起きると時空のゆがみが起き、それが波となって伝わっていく。これが重力波です。
LIGOの直角に交わる2本の真空の管の中では、レーザー光が往復しています。そこに重力波が通ると、レーザー光の干渉縞が変化し、重力波が観測できるのです。
宇宙の微かな信号を聞き分ける装置は地上の物音にも敏感で、観測施設のあるリビングストンから約3500キロ離れたカナダのセントローレンス湾の潮位変化までも観測データに現れるそうです。重力波を探すには地上の雑音を知り尽くす必要があります。
重力波の研究は、20世紀前半に始まりました。
年額プランがおトク!月あたり900円で全記事読み放題
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
オススメ!
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2026年10月号

