LIXIL創業家の躓き、デサント3代目の苦悩、RIZAPの杜撰な買収戦略、経済同友会トップの懸念材料

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★プロ経営者 vs創業家

 まさかのトップの交替劇だった。“プロ経営者”として2016年からLIXILグループの社長兼CEOの職にあった瀬戸欣哉氏がCEOの座を退き、取締役会議長を務める創業家出身の潮田洋一郎氏が会長兼CEOに就任したのだ。瀬戸氏は2019年3月末に社長も退任する。

 10月26日の緊急の指名委員会で、委員長の山梨広一氏が「瀬戸氏から辞任の申し出があった。後任は潮田氏と自分だ」と発言した。委員は特段の議論をせずに人事案を了承。潮田氏は翌日、瀬戸氏に「辞めてもらいたい。指名委員会の総意だ」と伝えた。指名委員会のメンバー5人は、潮田氏のほか今回の人事でCOOになった山梨氏、前英国経営者協会会長のバーバラ・ジャッジ氏ら潮田氏に近い人物で構成されていた。

 31日に開かれた取締役会で、一部取締役から「瀬戸さんが辞め、潮田さんと山梨さんの体制に変わる経緯が不透明だから、慎重に議論すべきだ」という声も挙がったが、結局、新体制への移行は賛成多数で決まった。

 人事の発表があった翌日の東京株式市場でLIXIL株は前日比14%安の1530円で引け、その後も値を下げている。売りの主体は海外の機関投資家だ。

 理由の1つは潮田氏の経営手腕に対する不安。記者会見で潮田氏は「中国やインドでビジネスを拡大したい」と語ったが、LIXILは過去に中国やインド企業の買収などで1000億円以上の損失を出している。当時、買収を実質的に決めたのは潮田氏だった。

 2つ目の理由はガバナンス不全。指名委員会や取締役会は本来、瀬戸氏退任の経緯や新しいトップが適任かどうかを議論する必要があったが、潮田氏の意向を追認しただけ。指名委員会のメンバー2人がCEOとCOOに就くお手盛りぶりに対する不信感もある。このため欧米の複数の機関投資家が「社内のガバナンスコードに抵触する」と保有株式を売却。年内に最終判断をする機関投資家もいる。

 だが当の潮田氏は、自身のCEO復帰を株式市場が歓迎すると思っていたようで、周囲に「株価の下落は意外だ」と語っているという。創業家出身者の再登板は、出だしで躓いた格好だ。

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source : 文藝春秋 2019年1月号

genre : ビジネス 企業