『流れる星は生きている』は高校生のときに初めて読み、戦争とはこんな壮絶な思いをするものなのだと、リアルすぎるほど教えられた。歩きながら足の裏に食い込んで取れなくなってしまう小石のように、戦争体験のない人間の記憶にもいつまでも残っている。
著者自身の経験をこうして書いている以上、生き残れたとわかっていても、乳飲み子を含む3児を抱えて単身、満洲から引き揚げた著者の苦しみは筆舌につくしがたい。戦争体験者がどんどん少なくなるいま、この時代を忘れず、著者の経験が再び現実にならないために、長く読み継がれてほしい本だ。
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source : 文藝春秋 2022年1月号